恋愛グロッキー
「俺は……」


顎を捉えられ


「俺はお前が……」


その手が

すっと

私…




「お前が…………おえ」




私……から離れ、彼の口元に戻った。


………こら。

今ここでそうきますか。


真っ青な顔で嘔気をこらえる人を見ながら、私は息を吐く。


どうしてくれる。

この中途半端なときめき。


仕方ないから背中をさすってあげると、拗ねたように


「お前のせいだ」


と、またもや悪態をついた。

それに、はいはいと相槌をうちながら、私は笑う。


ここは高速のパーキング。

豪華懐石はお流れ。

隣には車酔いの意地っ張り男。

なんなんだろう、これ。


私は笑う。
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