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2012年4月、21歳の春

私はずっと夢だった養護教諭、通称『保健の先生』になった。



高校なだけあって生徒と年が近く、何度も釘を刺されたのが生徒との恋愛。


よく漫画に出てきそうなシチュエーションだけど頼りなく、年下ウケが悪い私には縁がない話だと思う。





入学式など新任式など一通りの行事が終わり、たまたま教師全員の都合が合ったために飲み会が開催された。

広い宴会場で、30人近くの先生達が集まった。




「莉乃先生♪呑んでる?減ってないじゃ〜ん!呑んで呑んで」


私のグラスにさっきから容赦無くお酒を注いでくる唯一年が近い竹内遥。


「あっ、どうも…」


「みんなおっさんおばさんばっかでしょ?だから莉乃先生みたいな若い先生来てくれて嬉しくて嬉しくて〜」


平均年齢がどこの学校に比べても高いくらいに、見渡す限り中年ばかりで逆に私と竹内遥は浮いている。


「竹内先生はなんの担当されてるんですか?」


軽く全員の自己紹介は聞いたが、まだ一人一人の担当教科や、担当の学年など顔が一致しない。


「私はねえ体育!」


「体育なんですか!女性の先生って珍しいですね」


「よくびっくりされるんだよね〜♪」


びっくりはするけど態度のでかさと体育会系な感じがぴったりだ。

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