悪魔の花嫁
現世は青空が広がり、いい天気。

「あ~~!!気持ちいい」

このポカポカ陽気に、さっきまでの緊張感が無くなっていた。

「もう!!!愛士は能天気なんだから!」

華は怒りながら愛士の頭を叩く。

「さっきのバトンさん言葉をもう忘れたの!?今回は今までの寿命で亡くなる人間とは違うんだからね!」

プリプリと怒る華に、叩かれた頭を撫でながら、愛士は口を尖らせて華を見た。

「そんな目をしても駄目。」

ズバッと言い切る華に、愛士は敵わない。

ふて腐れていると、華が叫んだ。

「あ!!出て来た!!あの娘じゃない!!」

洋風の学校に繋がる並木道から、リスト者である女の子・・・「玉木 葉弥」が出て来た。

肩までの、黒髪に、化粧はしてなくて、でも美人で清楚な感じだ。

「へぇ・・・、可愛い・・・」

愛士は自然にその言葉が出た。

と、同時に後ろにいた華が物凄い顔で愛士を睨む。滲みでるオーラは嫉妬心丸出しの恋人のようだ。

あはは、っと乾いた笑いを出しながら愛士は葉弥を眺めた。

一見、死ぬようになんて全然見えない。どこから見ても、健康な普通の女子高校生だ。

ただ・・・。気になるのは表情。どことなく暗く感じる。

愛士がそう思っていると、彼女の後ろから複数の女達が追ってきて、彼女の前にはばかった。

友達には見えない。

5人くらいいる女達は、髪の色も化粧も派手で制服も今時風に変えている。

いわゆる、「不良」ってやつだろうか。その、リーダー格の女の子が葉弥に声をかけた。

茶髪のちょっと長めのショートに派手な化粧、でも、化粧を落としても、綺麗な顔だって分かるくらい端正な顔立ちだ。

「ねぇ、持ってきた?」

綺麗な顔を葉弥に近付け、手を差し出す。

葉弥は少し、怯えた顔をしながら首を振り、震える唇で振り絞るように声を出した。

「そんな・・5万なんて・・・持ってない・・。」

その言葉と同時に、パンッと音が響き、葉弥の体が地面に倒れる。

「い・・っ・・」

倒れた体を少し起こし、叩かれた頬を押さえた。

「ふざけんなよ・・・・」






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