悪魔の花嫁
真っ青な青空が広がる爽やかな朝に、とある洋館から、


バッター―――――ンっと

広い洋室の一室のドアが勢いよく開けられて、酷い音を響かせる。

既にその部屋の中に居た者にとっては、騒音妨害で迷惑だ。

もっと、常識的に普通にドアを開ければ良いものの。

しかし、ドアを開けた少年はそれどころではない様子で慌てている。

どうも全力疾走してきたらしく、話も出来ない程、呼吸が乱れて、肩で息をしていた。

(全く、朝っぱらから何をしでかしたのやら・・・)

騒音妨害被害者①である青年は、そう思いながら飲んでいたコーヒーを口から放すと少年に声をかけた。

「一体、朝から何の騒ぎですか?」

迷惑極まりないっと顔に出して・・。

しかし、少年は青年のそんな顔に気がつくことも無く、やっと整った呼吸をおもいっきり吸い込んで、泣きそうな顔を上げ吐き出すように叫んだ。

「俺のペンダントが無――――――い!!!」

洋館中にその声が響き渡る。

騒音妨害2だ。

「「はぁ!?」」

少年の言葉に呆れた二重の声が返ってきた。

「はッ、バカな奴。」

騒音妨害被害者②である青年は他人の非常事態を楽しそうに笑う。

被害者①は既に言葉も無いのか無言でまたコーヒーを飲み始めていた。

少年は落胆して二人を見る。

少しくらい、心配してくれたってっ・・・。

例えば、『それは大変だね、一緒に探そうか?』くらい

言ってくれたっていいと思う。

しかし、この青年二人。

『自分は自分。他人は他人』という性格の持ち主。

この結果は結構予想通りだったりするけど・・・・・。

するけど!!!!

人が困った時くらいはさぁ!!

「何だよ!!大人のくせに!!冷てぇーの!!」

「君だって、16歳なら大人だよ。自分の事くらいちゃんと管理なさい。」

と言って被害者①は椅子に腰掛け新聞を読みながらコーヒーを飲み、

「全くもって同感だな、そんな『大事な物』を無くすアホは知らん」

っと、被害者②は、50kgのダンベルを持ち出して筋トレを始めた。

彼等の言う事は最もで、少年である彼は反論も出来ない。
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