悪魔の花嫁
「おはよー」

「おはよー」

学校に次々と生徒達が登校してくる。
葉弥をいじめている彼女達も登校していた。

「なぁ、今日、葉弥、来るかな～」

「でも、このクラスの男子全員に裸見られてるしねぇ～」

「あの、メール送ってるから来るじゃねぇ」

裸で眠る葉弥の写真を携帯で表示して面白可笑しく彼女達は話す。

不意に、少しだけクラスが静かになった。
彼女達は不思議に思い、合わせていた顔をクラス全体に向けた。
男子全員が雑談を辞めて何かを見ている。その目線は教室のドアに向かっていた。

目線の先には葉弥が立っている。怯えるように、戸惑いながら。

彼女達と葉弥の目線がぶつかる。
彼女達はニヤリと意地悪そうに笑うと自分達の身体をくねらせ、わざと恥ずかしそうに胸を隠す仕草をする。
それは昨日の自分を表しているのが分かって葉弥は思わず目線を横に逸らした。
が、逃げ場は無かった。今度は男子達の視線とぶつかる。
その視線は身体中に刺さり、制服を通りぬけて裸を見られているようだった。

「あ・・」

葉弥は一歩一歩後ずさり、そのまま逃げるように走り出す。
教室になんていられる訳が無かった。
男子達の厭らしい視線も、彼女達のあざけるような視線も耐えられない。
彼女達が馬鹿にして笑っているのが聞こえるような気がした。
涙が溢れる。

走りながら頬に伝わる熱を感じていた。
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表紙・目次

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