悪魔の花嫁
「愛士!」
朝からボーっとしている愛士に華は喝を入れるように甲高く叫ぶ。
しかし、肝心の愛士は「ん~~」っと気の向けた返事を返すだけ。
華はまた溜息を付いた。
二人は、今、いつも通り、プカプカと学校の傍で浮かんでいる。
今日は葉弥の魂を狩る日。
愛士はそれが分かっているのだろうかと、思うくらい気が抜けている。
華は心配で堪らなかった。
愛士が葉弥に感情移入し過ぎている事が『魂を狩る』という役目に躊躇いを起こしそうで。
華はスィっと愛士の顔の前に移動すると小さい手で愛士の両頬を包む。
「愛士、今日は何の日か、分かってる?」
華の大きな瞳には涙が溜まっていた。
その不安気な表情に愛士は眉を八の字に下げてクスリと笑った。
「大丈夫だよ、華。心配かけてゴメンね」
小さな身体を顔に寄せてギュッと優しく抱きしめる。
「うん・・・。」
華は小さな手で愛士の髪を握りしめた。
愛士は温かい小さな身体を肌で感じながら目を閉じた。
華の身体を通り抜けて、愛士の瞳に葉弥の姿が映る。
閉じた目を開くと息を切らして屋上に着いた彼女が見えた。
愛士は思わず立ち上がる。
「わっ、何?」
急に動かれて体勢を崩す華も後ろを振り返った。顔が強張る。
屋上に葉弥の姿を見つけた。
全力で走ったのか、葉弥の呼吸は激しく乱れ、立つことも限界らしく、そのまま入り口の近くにしゃがみ込んでいた。
肩で息をして、壁に身体を預けている。
現在11:00。
もうすぐ、狩りの時間が始まる。
朝からボーっとしている愛士に華は喝を入れるように甲高く叫ぶ。
しかし、肝心の愛士は「ん~~」っと気の向けた返事を返すだけ。
華はまた溜息を付いた。
二人は、今、いつも通り、プカプカと学校の傍で浮かんでいる。
今日は葉弥の魂を狩る日。
愛士はそれが分かっているのだろうかと、思うくらい気が抜けている。
華は心配で堪らなかった。
愛士が葉弥に感情移入し過ぎている事が『魂を狩る』という役目に躊躇いを起こしそうで。
華はスィっと愛士の顔の前に移動すると小さい手で愛士の両頬を包む。
「愛士、今日は何の日か、分かってる?」
華の大きな瞳には涙が溜まっていた。
その不安気な表情に愛士は眉を八の字に下げてクスリと笑った。
「大丈夫だよ、華。心配かけてゴメンね」
小さな身体を顔に寄せてギュッと優しく抱きしめる。
「うん・・・。」
華は小さな手で愛士の髪を握りしめた。
愛士は温かい小さな身体を肌で感じながら目を閉じた。
華の身体を通り抜けて、愛士の瞳に葉弥の姿が映る。
閉じた目を開くと息を切らして屋上に着いた彼女が見えた。
愛士は思わず立ち上がる。
「わっ、何?」
急に動かれて体勢を崩す華も後ろを振り返った。顔が強張る。
屋上に葉弥の姿を見つけた。
全力で走ったのか、葉弥の呼吸は激しく乱れ、立つことも限界らしく、そのまま入り口の近くにしゃがみ込んでいた。
肩で息をして、壁に身体を預けている。
現在11:00。
もうすぐ、狩りの時間が始まる。