悪魔の花嫁
両腕を頭の上で押さえ込まれ、1人の男が葉弥の身体に馬乗りなる。

「何だよ、逃げんなよ、折角だから、生で見せろよ」

葉弥はこの行為に自分に起こるこれからを簡単に予測できた。

必死で暴れた。男の力に叶うわけが無くても必死で暴れて抵抗した。

それが功を奏したのか、葉弥の蹴りが1人の男に的中する。

蹴りは腹に入ったらしく、男は前屈みになって痛みに呻く。

仲間の異変に男達が怯んだ。

葉弥はその隙を見逃さず、全力で馬乗りになっている男を押しのけ走りだした。

今度は捕まらないよう必死で走る。

乱れた制服を抑えながら走り出したまま・・・





止まらなかった。





屋上から葉弥の身体がふわりと浮く。







「愛士・・。」

華が心配そうに愛士を見上げて呼んだ。

愛士の顔は無表情で何も読み取れない。

愛士は鎌のペンダントを掴む。

すると、グワッッと音を立ててペンダントが大きな鎌になった。

刃がギラリと鳴き光る。

愛士の小さな背中からは大きな漆黒の羽がはえていた。










< 26 / 32 >

この作品をシェア

pagetop