悪魔の花嫁









屋上から地面まで、それは一瞬。

でも、どうしてだろうか・・・、それはとてもゆっくりと感じた。







目の前には、見慣れたグランド。

ああ、死が待っている。

施設の皆の事も、看護婦という夢とも、さようならだ。

ただ、身体の重力に任せて、葉弥は落ちていく。

「皆・・、ごめん・・ね・・・。」

誰にも聞こえないはずの言葉は、死神だけが聞いていた。

鎌をギュウっと力強く握り直すと愛士も、葉弥を追って落ちていく。

二人並んで、そして・・・・

ドンッッと鈍い音が学校に響き。

誰にも聞こえない鎌の音がグサリと響き渡ったのは同時だった。


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