悪魔の花嫁
だから彼等には言いたくない現世の過去がある。

もちろん、この少年も。

だって・・・

16歳の若さで病気で死んだから。

不治の病と言われてる心臓病で・・・・。

峠がきた時、少年は神を憎んだ。

友達とか彼女とか作って色々とやりたい事があったのに、それをやる前に天に召されるなんて、ふざけるなって感じだ!!!。

何で俺なんだとか!遠のく意識の中、そんな事思っていたら・・・。



―――――声が聞こえた。



男性の声と女性の声。

後で、今、一緒にいる二人に聞いたらそれは魔神と女神だったらしい。

その魔神と女神は死にゆく少年に同時に問う。

「「君に問う・・・。不慮の死を遂げたものは、死後を選べる。1つ、このまま、魂の消滅を行い、転生をするか」」と・・・・。

そして、少し、間が開いて、

まず、女神が「2つ、女神に使える『天使の花嫁』になるか」と問い、

「3つ、魔神に使える『悪魔の花嫁』になるか」と魔神が問うた。

少年は瞳を見開き、死にいく怒りから叫んだ。

「なんで、死んでいく俺が天使にならなきゃいけないんだ!!!
 俺は・・・悪になる!!!!!!」

その後・・、少年には、記憶が無い。

目が覚めたらこの洋館にある一室のベットの上だった。

「何、ココ・・・」

部屋の中を見渡しても全く記憶に無い場所。

自分の部屋でもなければ、病院でもない。

ベットのすぐ傍の窓から見える景色は、まるでおとぎ話のような世界だった。

奇麗な緑の葉を茂らせた木々達、屋敷の真ん中にはキラキラと太陽の光に反射する噴水に、芝生の上にある高価な銅像や装飾品の数々。

まるで現世の「外国」みたいだ。

ただ違うのは動物達が、人間のように動いて、話しているという事。

「???」

ありえない事に頭がくらくらする。

(天国??でも俺、悪になるって言ったのに・・・(汗))

想像していた地獄とは違うこの平和さ。和やかさ。

(なんなんだ一体・・)

混乱しながら外を眺めていると、コンコンっとドアをノックする音が部屋に響く。
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