悪魔の花嫁
狐は、少年が理解したことを理解すると、得意げに話し出した。

「では、説明致します。よろしいですか?
人は皆、生まれる前に、100歳という寿命を平等に与えられます。
そして、寿命を与えられた者だけが、現世に転生していきます。
しかし、現世には色々な物があり、現世に降りた途端、与えられた寿命が、人それぞれ変っていくのです。
最近では100歳を超えられる方も存在しますが、まぁ、普通は100歳前の80~90歳で亡くなられる方が多いです。
あなたには、その、100歳まで到達していない、残りの寿命を回収してきて頂きます。
 この鎌のペンダントは死期者の残り寿命を狩り取る役目を致します。
そして、この骸骨ブレスは、我々との連絡通信と、あなたの必需品を出してくれる役目を致します。」

狐はそう言って、それ等を着けろと目で促す。

少年はそれを読み取り、恐る恐る、ペンダントとブレスを持ち上げ、身に着けた。

なんだろう、ずっしりと重く身体に感じる。

「重いですか?」

感じた心を読み取るように狐は告げた。

「えっ・・」

「そのうち、慣れますよ、魂を狩る重みは『死神』でも避けられません。」

そう言いながら狐執事はトレーを片付ける。

ほんの少しの沈黙。

「ねぇ、他に『花嫁』はいないの?」

「いますよ。」

即答する狐に少年は目を大きく見開いた。

「ええええええ!!」
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