彼はスター
「アハハッ。そんなことか。でも歌ってないんだよ。美緒ちゃん、将大のこと話してたから。おかげでオレ美緒ちゃんと将大の6年間だいたいわかっちゃった。」
翔君は明るく言ってくれたけど。私は固まってしまった。
ショック!なんか分からないけど、よりによって翔君に話すなんて。
あんまり将大のこと人に話したことないのに。
しかも別れたのに。
私は顔が赤くなって下を向いた。
どんな事話したのか聞きたいけど、怖くて聞けない。
翔君は私の隣に座った。
「大丈夫だよ。オレ口堅いし。それに俺からしたら理想的な彼女だなぁって思った。そんな風に付き合えたらいいなって思うよ。」
翔君は言ってくれた。褒められてる?
でもそれはそれで恥ずかしくてまた赤くなった。
小さい声で「ありがとう。」と言った。
「よし!じゃカラオケでも行く?」
「…うん。」
歌の上手な人は周りにたくさんいるし、カラオケも一緒に行ったことあるけど。売れっ子アーティストといくのは初めて。
翔君はあたしとカラオケなんて、素人と行くようにどってことないんだろうな。
と思ってたら、
「女の子と2人でカラオケなんて緊張する。今日はシラフだし。」
と翔君が言った。
あたしはそれはそれで驚いた。
「スッゴい慣れてそうに見えるのに。」
あたしの言葉に翔君は困ったような顔をした。
「……そう。それ!慣れてそうに見えるってよく言われる。慣れないよ、こんな事。複雑な心境になる。どう見えてるんだろ?」
翔君は怒ってるようにも見えた。
あたしは率直な意見を述べた。
「女の子にモテるから、デートもたくさんしてそうだし。真面目に彼女一筋にも見えるけど。でも、何で慣れてないの?」
「あんまり、女の子と遊ばないから。彼女もしばらくいないし。
だからデートたくさんしてないから!」
翔君はすねてそっぽ向いちゃった。やだ、可愛い。