彼はスター
翌日、事務所からの電話で起きた。
翔君とあたしのフライデー記事が載ったらしい。
事務所に着くと記事を見た。
タイトルは『夕暮れお台場デート』
ふむ、なかなかロマンチック。
ただあたしの顔は目線が入っててわからないようになっていた。素人だと思われている。
翔君は大丈夫かな。
あたしの方は全然問題ない。事務所の人はむしろ顔出し写真だった方が良かったんじゃない?って言ってる。
そしたら知名度アップしてCDも売れるかもって。
「……ていうか実際付き合ってるの?」
と事務所の人に聞かれて
「いえ、ただの友だちです。」
と答えるしかなかった。
「ライブに来たって本当だったのね。」
チーフマネージャーは言った。私はこの人苦手。
私の携帯が静かな会議室に鳴り響いた。
翔君からだ。
すみません。と周りに言って電話に出た。
「美緒ちゃん、ゴメン!!大丈夫??記事見た?」
大きい声、本当に申し訳なさそうなのが伝わってくる。
「あたしは全然問題ないです。顔も出てないし。」
「俺も別に、平気。でもなんか、恥ずかしいけど。」