彼はスター
会場に入る。
大きさに圧倒された。
「すごい、本当にすごいねぇ。」
「俺は小さいとこが好きだし。」
竜は他のアーティストのバックバンドで大きいホールを経験している。
私はたまにイベントで呼ばれた時小さめのホールでやるくらいで、
自分では数百人のライブハウスばっかり。
大きい会場に憧れもあるけど、このままがいい気もする。
会場が暗くなる。
歓声があがる。
ライブが始まる。
緊張する。
ディストライドのメンバーがステージに現れると、
歓声が一層大きくなる。
かっこいい!
歌う翔を見て、素直にそう思う。
翔から目が離せない。
何度か目が合った気がした。
好きになっちゃいそう。
曲の合間竜に耳打ちした。
「ファンになっちゃいそう。」
「相思相愛でいいんじゃない?」
って竜が言うから、あたしは竜の肩を叩いた。