HAPPINESS!~幼なじみはアイドル~
「‥あんた、”居場所を教えない“、“携帯の電源を切る”を徹底してるんだって?」


松木さんが私の顔を覗き込む。


「どうして女って”悲劇のヒロイン“になりたがるんだろうな。‥初めてCOCORO に来たときの二宮そっくりだよ、あんた。」


松木さんが近くにあった椅子に座った。


「‥二宮さんにそっくり‥?」


「あぁ。アイツ、結婚の話が出ていた彼氏を同期の女に取られて、仕事辞めたんだ。で、うちの店に来た。‥そんな風には見えないだろ?」


アップルパイを切り分けながら、松木さんが言った。


「全然そんな風には見えないです‥。」


私はグラスの中のホット・ワインを見た。


あの二宮さんにそんな過去があったなんて‥。


私は、なっちゃんの婚約のお祝いにとオレンジ・ブロッサムを作ってくれた二宮さんの姿を思い出していた。
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