HAPPINESS!~幼なじみはアイドル~
「ほら、ハルも食えよ。時間なくなっちゃうぞ。」


ケイがモグモグしながら言った。


‥これが私達のいつもの“仲直り”の仕方。


気まずい雰囲気が苦手な私達は、最初に謝ろうとする私と、まるで「そんなことあったっけ?」という態度のケイとのやり取りで、すぐに元に戻る。


だから‥何も前には進まないのかも知れないけど。


「砂糖があって良かったよ。一回買い物に行かないとね。」


私がそう言うと、ケイがニヤっと笑った。


「ハルは疲れるとコーヒーに砂糖を入れるだろ?だから砂糖だけは用意しておいた。」


いつも通りの偉そうなケイだったけど‥そういうさりげない優しさが、私の胸の奥を温かくした。
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