【 青春という名の、革命を 】
題名といい説明文といい、本当に理解しがたいノートだ。不思議ノート、もうそう呼ぶことにしよう。
ただその不思議ノート、1つだけはっきりしたことがある。
これを作った人は、どうやらこの学校の卒業生らしい。丁寧にクラスから名前、日付までもが書いてある。個人情報というものを気にしないタイプのようだ。
「アドバイスねぇ...勉強方法とか?」
よくあるパターンを想像してみる。
だいたい卒業生が後輩に向ける言葉なんて、勉強か部活についてのどちらかだ。あとはたくさん思い出つくってとか。
アホらしい。
自分達がどれだけ高校生活を満足できたか、できなかったか、そんな話をわざわざする奴なんて、大体自慢したいだけだ。それか、不安と後悔を笑い話にしたいだけか。
本当に後輩を思って言っている人なんているのか?自分が新たなスタートを切ろうとしている時に?そんな人100人に1人いたらいいほうだ。
「そんなもん、役にたつかよっ。」
勢いよくノートを閉じ、本棚の奥へ戻そうとした時、閉めた拍子で、ページの間から何かが落ちた。
写真だった。
写っていたのは、胴着に黒帯の集団。その格好からは似合わない蔓延の笑みを浮かべ、ピースサインをしていた。
笑顔や雰囲気から、その集団の仲の良さが、初めて見た私にも伝わった。
【空手道部 3年生集合!】
ピンクのペンでそう書かれた文字は、少し癖があって、高校生らしさが見え隠れしていた。