【 青春という名の、革命を 】
この暑い中、全力疾走している補習組の1人。
高まる鼓動が、無意識に足を速める。この高揚感はなんだろう。何かが始まる気がした。
格技場内には誰もいなかった。
それもそのはず、柔道部も剣道部も合気道部も、合宿中だ。なんてタイミングのいい。
誰もいないのをいいことに、あらゆるところを探し回る。
各部室、教官室、額縁の裏。
思い当たるところは、すべて探したが何も出てこなかった。無駄に埃が舞っている。
「ヒントが曖昧なんだよ!」
一気に事を成しすぎたみたいだ。荒い息を整えるように畳の上に寝っ転がった。
呼吸を落ち着けながら、もう一度よく考えてみる。
そもそも、タチバナレンとは誰だ。まずそこから初めなければならないのでは。
名前は男子っぽいが、ノートや写真の文字は女子っぽかった。空手道をやっていたぐらいだから、逞しくて強そうなのか。
窓からの光がだんだん位置を変えていき、昼間は煩いくらいだった蝉の声がもう静かだ。
「革命...」
確かに起きた。
この不思議ノートとの出会いが、私の平凡な毎日を変えてしまったようだ。
1年E組 瀬木トオル
夏が始まりました。