wild poker~ワイルドポーカー~

「……う……そ」

女の子はそう小さく呟き、カタカタと体を震わせながら、そっと自分の頬に手を触れた。

その瞬間、俺の後ろから微かに何かの動く音が聞こえ、ハッと目を見開く。

それから茫然と立ち尽くす彼女に向かって走ると、そのまま彼女を突き飛ばす。

その次の瞬間、ダンとまた不吉な打音が聞こえ、静かに後ろを振り返る。

するとまるで当たり前の様に、新たな矢が幹に刺さっているのが見えた。

それを見てゴクリと喉を鳴らして空気を呑み込むと、地面に倒れている彼女を抱き起こす。
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