wild poker~ワイルドポーカー~
「さ、触らな……」
「いいから!!逃げるぞ!!」
俺を警戒する彼女を無視して腕を掴むと、そのまま森の中を走り出す。
すると女の子は何も言わないまま、大人しく俺の後ろを走ってついてきた。
彼女の手を引き、草木を掻き分ける様にして森の中を走り続ける。
「誰かに追われてんのか!?」
必死に走りながらそう彼女に問い掛ける。
「わ、分からない!!でもここに来てからずっと誰かがついてきてる様な気がして……」
そう言って彼女は不安そうに後ろを振り返る。
その彼女の言葉の通り、誰かが後ろから追って来るような気配がした。
俺達とは違う、誰かが動く音。
その音は俺の不安を煽り、そしてその音の主が、決して話を聞く様な奴ではないという事だけは理解出来た。
何故ならこの追って来ている奴があの矢を放った奴なのならば、そいつは明らかに彼女を……《殺す》つもりだった。
その事実に眩暈がし、視界がグラグラと揺れる。