wild poker~ワイルドポーカー~
「お取り込み中悪いけど……動かないでね」
その透き通る様な不思議な声と共に、ガチャリと何かの音が聞こえる。
……またか。
冷や汗を掻きながらそう心の中で呟くと、そっとビルを見上げた。
するとビルの二階の窓から、戦争映画でしか御目見えした事の無い様なゴツイ銃を構えた美少年が、ニッコリと眩しい笑みを浮かべているのが見える。
黒い髪に白い肌。
銃が全く似合っていない華奢な体に、まるで女の人にも見える中性的な整った顔。
少年と言ったが年は十代にも二十代にも見える。
大人と言うには幼く、でも子供と言うには大人びている目をした……不思議な男。
そんな彼は俺と女の子を窺う様に見ると、またニッコリと眩しい笑みを見せた。