wild poker~ワイルドポーカー~
「とりあえずどうぞ。今、食べちゃっていいよ。まぁ、手掴みになっちゃうけどね」
須藤さんはそう言って笑うと、またリュックから缶詰を取り出し、それを開ける。
すると果物の缶詰特有の甘い香りが辺りに広がり、急に空腹を思い出した。
そっと横を見れば、霧島さんもお腹を減らしているのか、目の前の桃の缶詰を食い入る様に見つめている。
しかし……手を出そうとはしなかった。
「そんなに警戒しなくても……毒なんて入ってないよ」
そう言って須藤さんは困った様に笑うと、彼女の前に置かれている桃の缶詰を開け、その桃を一つ口に含んだ。