wild poker~ワイルドポーカー~

「うん。甘くて美味しい。桃……嫌い?」

「……い、いいえ。あの……ごめんなさい」

須藤さんの眩しい笑みを受け、霧島さんは微かに頬を赤く染めながら視線を逸らすと、疑った事を申し訳なさそうに謝る。

「謝る必要はないよ。人を疑うのは……ここに居れば当たり前の事だ」

そう言って笑う彼の手から缶詰めを受け取ると、霧島さんはコクリと小さく頷いた。

「颯太君は?」

「あ、はい。いただきます」

そう言って目の前の缶詰を手にすると、それを開け、中に入っていたパイナップルを恐る恐る口に運んだ。

少し緊張したままそれを噛み締めると、甘酸っぱいパイナップルの味が口の中に広がる。

……ウマい。

そう切実に感じた。

今まで生きてきて、パイナップルの缶詰をこれほどウマいと感じた事があっただろうか。

そんな事を考えながら、黙々とパイナップルを口に運ぶ。
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