wild poker~ワイルドポーカー~
スペードの10とダイヤの3 【side‐A】
少し緊張で身を強張らせたまま、揺らめく世界を見つめた。
ゆらゆらと不安定に揺らいでいた景色が、次第に何かの形を浮かび上がらせていく。
それはまるで血の様に赤い空と、黒い影に覆われて行く……《街》
「……ここは」
そう小さく呟き、そっと俺の肩に手を添えている男を振り向く。
「ここは《街》エリアだな。前に来た事がある。ただのビルだけ並んだ……無人の街だ」
その藤谷の説明と共に辺りを見渡そうとした瞬間だった。
パンパンと断続的に乾いた破裂音の様なモノが聞こえる。