wild poker~ワイルドポーカー~
そのまま少し崩れた壁の隙間に飛び込むと、壁に背を付けたままそっと辺りの様子を窺った。
すると俺の居るこの場所から十メートル程離れたビルの影に、藤谷がしゃがんでいる姿が見える。
藤谷は俺の姿に気付くと、まるで《伏せていろ》とでも言いたげに、手の平を上下に動かして見せた。
一向に状況が理解出来ないまま、そっと辺りを見渡す。
絶えず響く銃声音に、何処かから聞こえてくる誰かの悲鳴。
まるで戦争映画の様なその光景に、背筋に冷たい汗が伝うのが分かった。