wild poker~ワイルドポーカー~

ゼイゼイと乱れる呼吸を抑える様にそっと胸を押さえたまま、ゆっくりと後ずさる。

その瞬間、不意に手に触れた感触に……ビクリと身を竦めた。

地面に落ちている《その》感触は、冷たい様な温かい様なそんな不思議な感触で、柔らかくそして固い様な……そんな矛盾した感覚を覚えた。

それが一体何なのか。

それは視線を落とせばすぐに分かる事だが、何故か自分の心がそれを拒絶している事に気付く。

……見てはいけない。

そんな言葉が頭の中に響き、しかしそれを無視して……そっと視線を落とした。
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