wild poker~ワイルドポーカー~
「私が持っているのは《ハートのJ、Q、K、A》と《クラブの4、J》……これで全部」
そう言って彼女は持っているカードをしまうと、小さく溜息を吐いた。
「今の所、大した役は作れなさそうね」
「そのハートのカードを貸してくれたら、《スペードの10》と足して《ストレート》は出来そうだけど?」
「……絶対に嫌」
藤谷の提案に彼女は鋭い視線を返すと、訝しげに眉を顰めて見せた。
「じょ、冗談だってば。そんな事したらもったいないだろ」
そう言って藤谷は困った様に笑うと、それから俺と彼女を交互に見つめる。