wild poker~ワイルドポーカー~
「……いや。今回は俺のカードは使わない」
「何故?」
呟く様な藤谷の答えに、短く問いを返す。
「ストレートを揃えるのは……千尋ちゃんだから」
そう言って彼は真っ直ぐに俺を見つめると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて見せた。
「報酬を貰えるのは揃えたプレイヤーだけだ。俺は情報に興味無いから、千尋ちゃんに譲ろうと思って。……お前は?」
藤谷はそう言うと窺う様な視線を雪村に向ける。
しかしその視線が少しだけ鋭く見えるのは……俺の気のせいだろうか。
そんな視線を知ってか知らずか、雪村は少し考える様に腕を組み、それからコクリと頷いて見せた。