wild poker~ワイルドポーカー~
真実 【side‐A】
グルグルと辺りを見回すが、やはりそこは俺の知っている街だった。
それを認識した瞬間……走り出す。
「……千尋ちゃん!!」
そう俺を呼ぶ藤谷の声が聞こえるが、それを無視して走り続けた。
行き先は勿論……決まっている。
もう何度通ったかも分からない見慣れた道を走り抜け、そして勢いよく角を曲がる。
するとそこには俺の記憶と違わず、大きなマンションが姿を現した。