wild poker~ワイルドポーカー~
「千尋ちゃん!!」
藤谷はそう俺の名を呼んで俺の前まで走って来ると、それからゼイゼイと息を切らせて俺を見つめた。
「勝手に走り出さないでよ!!何かあったらどうするの!?」
同じく息を切らせた雪村は、そう言って不機嫌そうに眉を顰めて、咎める様な視線を俺に向ける。
しかし彼女の視線が扉に付いている表札に向けられた瞬間、彼女はハッと目を見開いて、微かに表情を曇らせた。