wild poker~ワイルドポーカー~

そこは……俺の知っている《部屋》だった。

俺がこの狂った世界に放り込まれる前に出て来たままの……俺が暮らしていた《部屋》

置かれている家具も、閉められているカーテンも、テレビも冷蔵庫も、敷かれているカーペットも。

全てが……《そのまま》だった。

茫然と立ち尽くす俺の横に二人が立つと、二人は静かに部屋の中を見回し、それから悲しそうに表情を曇らせる。

その彼等の視線の先には、写真立てが見えた。

そこに挿まれた写真に映るのは、眩しい笑みを浮かべた俺と、そして俺の何よりも大切な……《二人》の姿。
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