wild poker~ワイルドポーカー~

「……待っ……」

そう声を洩らし彼女へと向かって手を伸ばすが、それはもう……届かなかった。

彼女の身体は宙に浮かび、そして重力に導かれるように落ちて行く。

あの男と……同じ様に。

穏やかで、そして悲しい微笑みと共に落ちて行く彼女を茫然と見つめたまま、誰もが声を失った。

それから暫くして、またどうしようもない不快な打音が耳に届く。
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