wild poker~ワイルドポーカー~
そのまま元居たビルへと戻り部屋の中に入ると、そこにはここを出た時と変わらず、部屋の隅に荷物が置かれたままだった。
その事に少し安堵し、崩れ落ちる様に床に座り込む。
……それからどれだけ時間が経ったのだろうか。
誰も一言も話さないまま、ぼんやりと窓の外を眺める。
暗く陰鬱としたこの部屋の空気とは対照的に、空には眩しい太陽が燦々と光っていた。
それは酷く俺の心を突き刺し、息も出来ないくらいに胸が苦しくなる。
それと共に《あの瞬間》の記憶が生々しく蘇り、カタカタと微かに手が震え出す。