wild poker~ワイルドポーカー~

……人殺し。

そう心の中で、何度も呟いた。

もしもこのクソみたいなゲームから解放されたとしても、俺があの男を殺したという事実は消えない。

……仕方がなかったんだ。

アイツが、アイツが全部悪い。

俺は悪くない。

こうするしかなかったんだ。

アイツを殺したから、俺は、黒咲さんと霧島さんを救う事が出来た。

……何が悪い。

あのクソみたいな男を殺す事の何が悪い。

……悪いに決まってる。

殺人は……《罪》だ。

決して犯してはならない《罪悪》

でも、殺さなければ守れなかった。

殺さなければ、救えなかった。

……どうしようもなかったんだよ。

そんな矛盾した考えが、グルグルと頭の中を回り、それを掻き消すように強く目を閉じる。

その瞬間、ガチャリと部屋の扉が開く音が聞こえ、ビクッと身を竦めた。
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