wild poker~ワイルドポーカー~

「俺はこの世界から出ない。……絶対に」

その俺の答えに藤谷は何か考える様に目を伏せ、それから全てを理解した様に深く頷いた。

……俺は元の世界に帰れない。

そして死ぬワケにもいかない。

いつか必ず訪れる……《その時》の為に。

「……すまない。静(シズカ)」

そう小さく呟いて、そっと左手に嵌められた指輪に口付ける。

……もう会う事は出来ないかもしれない。

それでも俺は……やらなくてはならない。

「行こう。残酷な《物語》を……終わらせないとね」

その藤谷の言葉に小さく頷き、そのまま深い森の中を歩き始めた。
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