wild poker~ワイルドポーカー~

「テメェがあの男、嗾(けしか)けたんじゃねェのかって言ってんじゃねェの?ケケッ!!」

そのコウモリのストレートな言葉に、須藤さんは困った様に肩を竦めて見せる。

「何の為に僕がそんなコトをする必要が?」

須藤さんはそう言って笑うと、静かに俺達を見回す。

「何を信じるかは自分で決めるといいよ。これ以上は何も言えないな」

否定も肯定もしない彼の答えに、どうしようもない不安を覚える。

でも、だからといって何をすべきかも分からないまま、ただ真っ直ぐに彼を見つめ続けた。

それから誰も口を開かないまま、凍り付く様な静寂が続く。

しかしその静寂を破ったのは……須藤さんだった。

「いつまでもここに居ても仕方がないと思う。エリア移動しよう」

その彼の提案に霧島さんと黒咲さんが顔を合わせ、それからコクリと力無く頷いた。
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