wild poker~ワイルドポーカー~

「い、行くぞ」

ゴクリと息を呑んでそう呟くと、そのまま思い切って赤い線の向こう側へと足を踏み入れる。

その瞬間、グラグラと周りの景色が歪み、それはどんどん形を失って行く。

橙色の夕暮れの街は消え去り、何も無い真っ黒な闇が浮かんだかと思うと、それから次第に鈍く光る……《赤》が見える。

そしてそれが形を浮かび上がらせたその瞬間、焼ける様な《熱さ》を感じた。

「随分面倒なエリアに出たな!!ケケケッ!!」

そんなコウモリの嘲笑う様な不快な声が聞こえ、しかしそれを無視して辺りを見回す。

そこは辺り一面が、燃える様な《赤》で埋め尽くされていた。

それから褐色の土や岩。

そしてどこまでも連なる様に聳え立つ……《山》
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