wild poker~ワイルドポーカー~
「じゃ、決まりだね。逃げよう」
その彼の言葉と共に皆がフラフラと立ち上がったその瞬間、傍の岩にとまっていたコウモリが突然、空高く舞い上がった。
「……なっ!?」
そのありえない行動に思わず小さく声を洩らしたその瞬間、灰色の男が……静かにこちらを振り向いた。
灰色の布で覆われた顔は見えないが、その闇の中の《瞳》は真っ直ぐに俺を見つめている気がする。
「ケケッ!!これでやっと始まるぜ!!最高のクライマックスがよ!!」
そう言ってコウモリはケラケラと笑いながら、クルクルと空中を旋回した。
「走って!!このままエリアの端まで逃げるよ!!」
その須藤さんの言葉と共に、勢いよく走り出す。
バタバタと全力疾走で火山を駆け抜ける俺の横を、コウモリは悪びれた様子もなくついて来ていた。