wild poker~ワイルドポーカー~
しかし次の瞬間、霧島さんがギュッと俺の手を握り締める。
それと共にハッと我に返り、そしてグッと歯を食い縛った。
……逃げなくては。
その考えが頭の中に浮かび上がり、そっと彼女の手を握り返す。
すると彼女はその意味を理解したようで、もう一度俺の手を握り返した。
その次の瞬間、走り出す。
真っ直ぐに……エリアの境界線へと向かって。
……どうせこのまま突っ立ってたって殺されるだけだ。
そんな事を考えながら霧島さんと手を繋いだまま走れば、すぐに赤い境界線が姿を現した。
いつ撃たれるのかと恐怖を感じながらも、そのまま勢いよく線を飛び越え、それからそっと……後ろを振り返る。
するとそこには銃を構えたまま、一向に動こうとしない《ジョーカー》の姿が見えた。
しかしその姿はユラユラと歪み、次第に霞んでいく。