wild poker~ワイルドポーカー~
決意 【side‐A】
揺らいでいた世界が形を取り戻し、そして見えたのは……鍾乳洞だった。
「……ここは」
そう小さく声を洩らし辺りを見回すと、まるでモグラの穴の様な洞窟がどこまでも続いている。
足元には水が溜まり、天井からもポタポタと水滴が落ちてくる。
そっと頭上を見上げれば、ゴツゴツした岩肌が見えるだけで、その先に空が見える事は無かった。
「洞窟エリアよ。ここはちょっと面倒なエリアね。道が迷路みたいになってて、なかなか進むのが面倒臭いの」
雪村はそう言って小さく肩を竦めて見せると、深い溜息を吐く。
そんな彼女を横目に洞窟内を見回す。
不規則に抉られた洞窟の中には、太陽の光は届いていない。
しかし少し薄暗くはあるが、近くに何があり、誰が居るのか、ちゃんと見る事が出来る。
それはこの洞窟の岩が……微かに光っているせいだろうか。
淡いブルーの光りを放つ不思議な洞窟を見つめたまま、意見を求める様に藤谷を振り返った。
「残念な事に、ゲームテーブルは遠いな。このまま境界線を目指して、とっととエリア移動しちゃおうか。それともここで今日は休む?入り組んでるから他のプレイヤーからは見つかり難いってのはあるけど」
その藤谷の言葉に考える様に目を伏せると、突然雪村は背負っていたリュックを地面に放り投げた。