wild poker~ワイルドポーカー~
「……あ」
突然霧島さんが声を洩らし、そっと歩く足を止める。
すると彼女の視線の先には、一人の女の姿が見えた。
それは少し拓けた空間に仰向けに横たわったまま……動かない。
黒く長い髪が、地面に溜まった小さな水溜りの上で広がり、それはまるで木の枝の様に見える。
地面には夥しい《赤》が広がり、彼女の見開かれた瞳は虚空を見つめていた。
……死んでいるのだと、すぐ分かった。
繋いでいる手をギュッと握り締められ、そっと隣に立つ彼女を見つめる。
すると霧島さんは怯えた様に瞳を震わせ、しかし必死に自分を抑えようと静かに目を閉じた。
「まだ死んだばっかりだな?この近くに敵がいるって事なんじゃねェのか~?ケケッ」
コウモリはパタパタと死体の周りを飛び回りながら、不快な笑みを浮かべる。
それに眉を顰めたその瞬間、ふと死体の手に目が留まった。
赤く染まったその手には、一枚のカードが握られている。