wild poker~ワイルドポーカー~

「ここで待ってて」

そう言って繋いでいた手を離すと、不安そうな霧島さんを岩陰に隠し、ゆっくりと死体へと向かって歩いて行った。

少し拓けた空間の丁度真ん中に倒れる死体を横目に、そっと辺りの様子を窺う。

……もしかしたら誰かの罠かもしれない。

死体のカードに釣られ、のこのこと現れるプレイヤーを狩る気なのかもしれない。

そんな考えが頭を廻る中、ドクドクと鼓動を速める心臓を無視して、死体へと近付いて行った。

「……ハートの6」

そう小さく呟いて、死体の手に握られていたカードを手にする。

カードは死体の血に塗れ、赤く染まっていた。

それは俺の指をも静かに染めて行き、それと共に不穏な感覚を覚える。
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