wild poker~ワイルドポーカー~

「ほら、やっぱりお前は《導かれて》いる。まるでその《結末》へ向かう事が《定められていた》かの様に」

「……どういう意味……」

ポツリと呟いたコウモリを振り返り、そこまで言って……口を噤んだ。

何故なら近くの岩にとまっているコウモリは、今まで見せた事の無い様な悲しそうな顔をして、小さく笑っていたから。

「もうすぐ終わるのかもしれない。《アイツ》の、そして《俺》の……長い、永い、《悪夢》がやっと覚める。……お前の手によって」

そう言ってコウモリはとても真剣な顔をして、真っ直ぐに俺を見つめた。

「いや、全てはそう仕組まれていた。お前が……そして《アイツ》が俺を《引き当てた》その時から。大きな、大きな……《何か》によって」

「……アイツって」

「……《約束》した。俺に最高のラストを見せてくれる代わりに、必ず《お前》を……《アイツ》の元へと連れて行くと。だから俺は……」

コウモリがそこまで言ったその瞬間、バチバチと眩い光が辺りを照らした。

まるで空に光る稲妻の様な青白いその光は、コウモリの身体から放たれ、コウモリが苦しそうに呻き、身を捩る。

「だ、大丈夫……」

「……さわ……んな……死ぬ……ぜ?」

手を伸ばす俺の言葉を、コウモリはそう言って遮ると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて見せた。

そのすぐ後に青白い光は消え失せ、コウモリはそのままポトリと地面に落ちる。
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