wild poker~ワイルドポーカー~

「おい!しっかりしろ!!なぁ!!」

そう声を荒げ地面に転がるコウモリをそっと抱き上げた。

すると俺の叫びを聞いて、霧島さんが俺の元へと向かって走って来る。

「……酷い」

俺の元へと走ってきた霧島さんは、傷だらけのコウモリを見つめ、口を手で覆ったまま茫然と立ち尽くした。

俺の手の上のコウモリの身体からは灰色の煙が上り、何かが焦げた様な不吉な臭いが辺りに広がる。

「……ほ…ら。《ルール》を……破る…と……こんな…感じ……だ」

そう言ってコウモリは力無く笑い、苦しそうに息を荒げた。

「《ルール》って……」

「……プレイヤーに……公平に。その……セリルの…《ルール》を……俺が…破ろ…うと……した。……だから……《ペナルティ》…って……ヤツだ…な……ケケ」

擦れたコウモリの声がシンとした洞窟内に響くが、俺は何も言えないまま、ボロボロのコウモリを見つめていた。
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