wild poker~ワイルドポーカー~
「お前が《サエキソウタ》だな」
そう言ってジョーカーは鋭く冷たい瞳で俺を見つめる。
「……アンタは……」
「俺の事はどうでもいい。質問に答えろ」
俺の言葉を遮り、ジョーカーはそう言うと、静かに俺の答えを待っていた。
「……そ、そうだけど」
緊張でドクドクと心臓が壊れそうな程鼓動を打つ中、何とか平静を装いながらそう答える。
するとジョーカーは小さく頷き、それから俺に向かってそっと手を差し出した。
「……これ」
差し出された右手の上に置かれている《それ》を見て、擦れた声を洩らす。
痛々しい傷だらけの手の上には……カードが置かれていた。
それは《クラブの10、J、Q、K》そして……《Joker》のカード。
「ロイヤルストレートフラッシュ。これでお前は外に出ろ」
それだけ言うと、ジョーカーは無理やり俺の手に五枚のカードを握らせた。
「な、何言ってんの?どうしてアンタが……」
困惑した様に声を洩らした、その時だった。