wild poker~ワイルドポーカー~
クラブの6 【side‐J】
ユラユラと揺れる景色が、次第に収まり……そして見えた光景に言葉を失った。
「……っ?」
小さく息を漏らし眉を顰めたまま、グルグルと辺りを見回す。
見えるのはどこまでも深い……《森》だった。
鬱蒼と生い茂る木々に、俺の腰ほどまで伸びた草。
褐色の少し湿った土に、仄暗い闇。
森の奥からは鳥か何かの……不気味な鳴き声がする。
こんな不安を誘う様な鳴き声は、冒険モノの映画でしか聞いた事がない。
そっと視線を落とすと、足元に見た事も無い様な赤い花が咲いている。
毒々しい赤の花弁に、やたらと鮮やかな緑の葉。
まるでジャングルの奥地の様なその光景に、ヘラっと気の抜けた笑みを浮かべた。