wild poker~ワイルドポーカー~
「雪村!!」
そう彼女を呼び彼女を抱き起こすと、彼女の身体から流れる夥しい血が、俺の服を真っ赤に染めていく。
そんな酷く歪で禍々しい温もりを感じたまま、彼女を見つめる。
すると雪村はカタカタと震える手を伸ばし、俺の頬へと手を触れた。
「……あな…た……に……最後……に…会え…る……なん…て……神……様……に……感…謝……する…べ……き…なの……かし……ら」
擦れ、震える声で雪村はそう言うと、俺の左手へとそっと視線を落とす。
それから俺の薬指に嵌められている指輪にそっと指を這わせると、真っ直ぐに俺を見つめた。
「……生き……残り…なさ…い……物……語…の……結……末…の…為に」
そう言って雪村は静かに目を閉じ、深く息を吐く。
「……ごめ…ん…ね……直……樹」
雪村はそれだけ言って悲しそうに笑い、そして……動かなくなった。