wild poker~ワイルドポーカー~
クラブのK 【side‐A】
「どうして……殺した」
動かなくなった雪村を抱いたまま、そう小さく呟いた。
「話があるってここに連れて来られて、突然撃たれた」
その何の感情も読めない至って冷静な答えに、カタカタと震える手を強く握り締める。
「だから殺した」
「お前……」
残酷な彼の言葉に勢いよく彼を振り返ると、そこには凍り付く様に冷たい瞳が見えた。
それに臆する様に息を呑み、ただ真っ直ぐに藤谷を見つめ続ける。
すると藤谷は何も言わないまま俺の前に膝を付くと、雪村の服の胸元へとそっと手を伸ばした。
雪村の着ている服の中へ藤谷の手が潜り、それは何かを探すように静かに彼女の身体を伝う。
藤谷の触れる手に雪村が反応を見せる事はなく、そのまま藤谷の手が何かを掴み、そしてその手が取り出した《それ》に……俺はただ愕然とするしかなかった。
藤谷の手には4枚のカードが握られている。
《ハートのJ、Q、K、A》の四枚。