wild poker~ワイルドポーカー~
「ああ、さっきも言いましたけど、私、無駄な殺しはしたくないんです。なので霧島さんが大人しくカードを渡してくれたら、二人には何もする気はないですよ」
「ふざけるな。アンタがカードを使ったら、霧島さんは死ぬ事になるだろ」
まるで聖女の様な微笑みを浮かべる彼女に、そう冷たく返す。
すると黒咲さんは小さく息を吐いて、静かに俺を見つめた。
「そうですね。でも佐伯君……貴方は生き残る事が出来る。その後にカードを集めて外に出られるかもしれなんですよ?何もせず、私を見逃してくれるのなら」
「……断ると言ったら?」
その俺の呟く様な問いに、黒咲さんは困った様に笑って、それから少しだけ視線を鋭くした。
「それなら二人とも……殺すだけです」
その黒咲さんの答えを聞き終わるよりも早く、霧島さんの手を掴んで走り出す。
「無駄ですよ。貴方達の物語は……ここで終わり」
そんな悲しく聞こえた囁きと共に、カチャリと金属音が耳に届いた……その時だった。