wild poker~ワイルドポーカー~
【マーク】で距離を測れば、そこはそんなに遠くはない。
このまま走り続ければ、すぐに到着できる筈だった。
それと共に空いている手で、ズボンのポケットを漁る。
そしてそこから持っている全てのカードを確認した。
俺達が所持しているのは《スペードのJ》《ハートの6、8、9、10》《クラブの6、8、10、J、Q、K》《ダイヤの6、J、K》……そして《Joker》のカード。
《ゲームテーブルを目指せ》
俺はアイツのその言葉に、アイツの考えを理解した。
この最悪な状況を打破する《手》を、俺の脳みそは酷く冷静に、そしてどこまでも残酷な答えをはじき出す。
「……フルハウス」
その俺の呟きに、霧島さんは困惑した様に瞳を揺らし、しかし何も言わないまま走り続けた。
すると色取り取りのネオンの煌めく街並みの中でも、一際目を惹く光景が見える。