wild poker~ワイルドポーカー~
「ねぇ、佐伯君。私と彼女……一体何が違うんだと思いますか?」
「何を……」
「守られるだけの彼女と、生きようともがく私。……貴方は彼女を守り、そして私を殺そうとする。それは彼女には生きる価値があり、そしてそれは私には無い。そういう事なのでしょうか?」
ニッコリと笑った彼女の問いに、グッと息を呑む。
「アンタは自分が生き残る為に、平気で誰かを犠牲にする。霧島さんだけじゃなく、須藤さんまで……」
「それは綺麗事。人は誰だって、誰かの、何かの犠牲の上に生きている。私が生き残る為に彼女のカードを望むのと同じ様に、貴方が彼女を守る為に今、私を殺そうとしているのも同じ事。貴方も私も……変わらない」
そう言って黒咲さんは悲しそうに笑うと、それから真っ直ぐに霧島さんに向かって銃を構えた。